EカップからHカップになって、谷間との向き合い方を考えた。

思い出ぼろぼろ

突然だが、私のおっぱいはHカップ。
たわわ、である。

そして、それをダサいと思っている。
「いや自虐風自慢やん」とお思いになる方もいるかもしれないが、どうかここで辞めずに最後まで読んで欲しい。

ダサいと思う理由の前に、私はずっと胸に対してある種の劣等感を抱いていたので、その話から。

Gカップの壁

私は7ヶ月前までEカップだった。さらに言うと、数年前までMAX89キロもある大デブちゃんだった。
もうおっぱいが何カップとか関係ないレベル。
(「いやおデブの話かい!」と思わず、最後まで読んでほしい。あと15行ほどで痩せるので。)

大デブちゃん時代、私の周りには同じレベルのデブちゃんが3人いて、彼女たちは軒並みGカップ以上だった。
同じおデブなのにも関わらず、Eカップしかなかった私は、
寄せたり、上げたり、測り間違えちゃうか?とランジェリーショップに行ったりしたけども、やっぱりGカップにはなれなかった。

「太っててもGカップ以上になるには素質がいるねんなぁ」と悟った私は、
この超えられない一線を「Gカップの壁」と名付けた。


壁を越えれないと悟った頃。カップ云々よりも、いよいよ太りすぎて健康面もメンタルもしんどくなってきたのでダイエットを決意した。
ダイエット施設に入ったり、断食道場に行ってなぜか滝に打たれたり、お金をかけて他力本願で痩せようとした。
でも結局パーソナルジムで正しい食事制限と運動の大切さを学び、4ヶ月で18キロほど痩せた。

その後、半年間の海外留学でスルスルと痩せ、大デブちゃんから、やっと「ぽっちゃり」の範囲に食い込めるほどの体型になった。(たぶん。うん、たぶんぽっちゃりの範囲のはず…!)
しかし、ブラのサイズはFのまま、Gカップ壁を超えることはなかった。


「乳測り名人」との出会い

それは昨年の6月だった。コロナの第一波が落ち着き、緊急事態宣言が解除された頃。
海外移住のため、日本のブラジャーをまとめ買いしとかな!と、いつも行く百貨店と街の可愛いランジェリーショップに行ったが、コロナの影響でどちらも閉まっていた。

仕方なく商店街のランジェ…いや、下着屋と言った方がしっくりくる、おしゃれさとは縁遠いお店にしぶしぶ入った。
まぁ売っている下着は百貨店のそれらと変わらないんだけど、下着を買うという行為は女性として少なからずテンションの上がることなので、「下着屋」で買うことに少し萎えていたのだ。

下着屋で迎えてくれたのは、齢60は過ぎているオバチャンである。
ひらがなのおばちゃんではなく、こちらの間合いを精神的にも物理的にも無視してズケズケとしたカタカナのオバチャンである。

「ブラジャーを探してるんですけ…」
「はいはい、まず測るね。じゃぁここで服脱いで!ブラのサイズは?」

話が早い。早すぎて入店3秒で、もう服を脱げと言われた。
「Eカップのアンダー90です」

そう答えてる間に、オバチャンは手際よくブラジャーの上から私の胸を計測していた。

「あら!ここ全然サイズ合ってないわ!」

そう言って、試着室を出てると、何やら裏でごそごそしてオバチャンは3つのブラを片手に戻ってきた。

「あんまりこのサイズは店に置いてないから、この3種類しかないんやけど…。
はい、Hカップのアンダー75

え〜!!Gカップの壁を軽々超えてるじゃ〜ん!!と、心の中で歓喜していた私にオバチャンは
「はい、正しい付け方教えてあげるから」と、ブラを着けるため私の胸(というかもはや背中)をまさぐりながらすごい早口で説明してくれた。

どうやら、今までのブラジャーはカップ数を下げて、アンダーを大きくすることで、どうにか収めていたらしい。

「逆よ逆!アンダーを小さくしてカップ数を上げないと綺麗なおっぱいにならないからね。今のままだと胸が散らばっちゃってるから、かき集めないと!

私の胸はドラゴンボールかいな!と思っているうちにオバチャンは、
私の胸肉を、小気味良いリズムでヨイショ、ヨイショと集めてくれた。
こんなにもぐりんぐりんと胸を触られたことはない。

「ほらね、綺麗になった!」

見事だった。
胸だけではなく、なんだか体全体がスタイル良く見えた。
商店街の乳測り名人のおかげで、いとも簡単にGカップの壁を突破できたのだ。

今までのおしゃれなランジェリーショップの店員さんは、みなさんお若かくお綺麗な方たちだったが、
カップが合わない時はアンダーを大きくする提案しかしてもらえなかった。

なるほど!これが経験値か、と自分を納得させたのだが、
おばちゃん曰く「このサイズはなかなかお店においてないから、あるサイズでなんとかしようとしたのかもねぇ」

…まじかよ。ふざけんなよ。

太ってるのにそこまで胸がないことで「ご期待に添えずすみません」と内省し続けてきたんだけど?

今までセックスのたび、男性から
「え、これ何カップあんの?」と聞かれてきた。
その度に「…Eだよ(太ってるのにこれだけしか無くてなんかごめん)」と申し訳なく答えてきたのに!

どうせ遊びやセフレで終わるんだったら「Hカップの女」として記憶の片隅に残りたかった。
私を通り過ぎて言った男たちに「お前らHカップを抱いたんだからな!」と言ってやりたくなった。
今から言おうかな。いや、さすがにやばいか。

こうして私はオバちゃんがオススメするHカップのブラジャーを買うことにした。しかも3つも!
Hカップくらいになると取り扱いのあるお店が少ないので買える時に買わなくては。
そしてやっぱり上下一緒が可愛いじゃない?だからもちろん、それぞれパンティーもセットにした。
なにせ、下着を買うということは、女性としてテンションが上がることなのだ。


買ったブラはワコールのブランド「Salute(サルート)
お値段なんと…

約18,260円

まじ?

ちなみに、オバチャンのお店では、パンティーは6,270円だった。
ブラジャー18,260円×3 + パンティー6270円×3 =

合計73590円

目を疑ったよね。
最新家電かな?ってね。
ダイソン買ってもお釣りでルンバも買えるやんって。どれだけ部屋のお掃除が楽になるんって。

後から友達に聞いたけど、ワコールのサルートと言えば、ブラジャー界の頂点らしい。
高級ブランドとして大人気で、風俗嬢の方々はサルートを買うのが嬢としてのステイタスとのこと。
すごい。女性のプロが選ぶんだもの。間違いないよ。

他のブランドも試したけど、繊細なレースが本当にキレイだし、つけ心地と谷間やシルエットの美しさは別格だった。
ブラが上がってくることもないし、胸がドラゴンボールのように散らばることはない。
しかもサイズも豊富なので、大きいサイズの可愛いブラを探している人には本当におすすめしたい。

でも、正直安くない。高い。今までこんなに高いブラは買ったことがない…。

そんな時、同じブラの他のサイズが目に入った。
なんとCカップが¥16,500!Hカップは¥18,260なのに!
Cカップを折りたたんだらHカップの片方のカップにすっぽり収まってしまうくらい大きさが違う。
使われてるレースの量もめちゃくちゃ違うのに、値段は2千円も違わないらしい。 

それを見て「まぁ、Cカップ買うよりもお得か」と、謎理論で自分を納得させ、
ええい!オバちゃんへのお礼と、Gカップの壁崩壊のお祝いじゃい!全部買ったれーい!と、勢いで全部レジに持っていった。

かくして、私はGカップの壁を崩し、ついにHカップ(¥18,260)を手に入れたのだ。

Gカップの壁を乗り越えた私は、ついでに海も乗り越えイタリア人と結婚するためにマルタに移住した。
ここで、である。谷間を持て余している。

私は「胸の谷間が見える服」に抵抗がある。
こう思う人は少なくないんではなかろうか?

だから日本で仕事をしていた時は、胸の谷間が見えないところまでチューブトップを上げて谷間を隠していた。
たまにそれをせずに行くと、歳上の女性スタッフから「どしたん、今日はセクシーやん」などと言われ、ギトギトとした嫌な恥ずかしさを覚えた。(これがお局か、とも思った)
男性から何かを言われたことはないけど、谷間が見える服をきているとなにかの武器にしているようで嫌だった。
友達と遊ぶ時ですら、谷間が見えないように気をつけた。谷間をはしたない事のように思っていた。

ところが、マルタに移住してその価値観が一変。
ここでは「布の少なさ=おしゃれ」なのかと錯覚してしまうほど、薄着の方がイケている。
女性なら、女性らしい体のラインを出す服の方がおしゃれなのだ。

おしゃれなヨガウェアをそのまま私服にしちゃいました的な。
健康的でセクシーな服装がイケてるのだ。
軸のない私はすぐに感化され、谷間をわざわざ隠すなんてナンセンスなことのように思えて、チューブトップで隠すのをやめた。

とはいえ、だ。
いまだに谷間が露わになった服の日はそわそわしてしまうし、
日本に帰る時はきっと空港でチューブトップを装着してしまうので、我ながら「どれだけ谷間に振り回されてるねん」と嫌になる。

巨乳はダサい?

おっぱいに関して、もう一つ悩みがある。
というか、やっと本題である。(お待たせしましたぁ!)

私は、自分が着るファッションなら「大きめシャツ、をパンツにイン!」するようなクールで、ボーイズライクな装いが好きだ。

吉瀬美智子が代官山でテイクアウトしたラテ片手に犬の散歩してる時に着てそうな服が好きなのだ。

だがしかし、大きめシャツを私が着るとどうにもサマになってない。理由はわかっている。
私の好きなファッションは、巨乳向けではないからだ。

ランフェイを歩くモデルを思い出してほしい。
たわわモデルを私は一度も見たことがない。DカップやEカップはいるかもしれない、でもGカップの壁超えモデルは見たことがない。
(ランフェイを歩くたわわと言えば、ヴィクトリアシークレットがあるじゃない!と思った人もいるかもしれないが、あれは下着のランウェイなので除外で。)

私の好きな系統のファッションは、巨乳ユーザーを想定していないのだ。
大きめのシャツを着たとこで、オカンのチュニック感しかない。
美味しいクッキーを焼きそうな雰囲気しか醸し出せない。吉瀬美智子になりたいのにステラおばさんの方が近い。

シャツのボタンを3つ開けてもいやらしくなく、オカン感を漂わすことなく着こなすには胸は邪魔なのだ。

胸の大きな人でも可愛い服はたくさんあるが、どれも私には女性的すぎて、媚びているようで「う〜ん、ダサいなぁ」と感じでしまう。
(まぁ、服を媚びているとか異性ありきの目線で考えてしまう感覚こそがダサいのかもしれないけども。)

きっと、日本にいた時に谷間を必要以上に隠していたのは
「女を武器にしてるって思われたくない!私の能力をみて!」という気持ちの裏返しだったんだと思う。
巨乳を押し出した服をダサいなぁと思うのは、お局の言葉にえへへ!で答えられる強さに対しての、ある種の憧れなのかもしれない。

なにせよ、ここではもう谷間を隠す必要はないし、周りには巨乳だろうと貧乳だろうと、女性であることを謳歌し、着たい服をカッコよく着こなす人ばかりだ。
ここでなら、ダサいと思っていた巨乳を自分のチャームポイントとして捉えることができるかもしれない。


と、まぁ長くなってしまったが、
「ブラジャー選びはプロに任せた方がいいですよ」という話でした。

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