女子サッカーの歴史的大敗。え?これラグビー?

思い出ぼろぼろ

マルタ共和国では今、
サッカーのヨーロッパNo.1を決める「UEFA EURO2020(欧州選手権)」が盛り上がってて、
町のいたるとこに国旗(連なったあれ。お洒落になりたいセンス無い系男子の部屋に貼られてるあれ)が飾られてます。

(マルタの首都Valletta)

マルタは今月からクラブやBARも深夜まで営業できるようになったので、ライブビューイングをしているお店はどこもたくさんの人が集まってます。
2ヶ月近く外食ができない日々が続いてたので、規制緩和のお祝いもかねて外でワイワイ飲みたい人が多いみたい。

ところでBY THE WAY。

実は私もサッカー経験者やねん。

水泳、バスケ、陸上(砲丸投げ。しかも初出場の大会で5位。いかつい。)をしてきて、大学で急に女子サッカー部。

サッカーは全く興味なかったけど、
先輩たちがあまりに可愛く、学校内で「女子サッカー部可愛い子多いよな」の空気があって。
その空気の内側に入りたくて入部したのだ。

部活動は、週2回くらい。たのしーく、かわいーく練習するゆるふわサッカー部だ。

ただ、ゆるふわじゃないことが1点。
部員数がギリギリなので、試合は基本全員参加で!ということ。

――――

大学2年の夏。

奈良での試合のため、集合時間は朝8時。
起きたのは8時過ぎ。あかんやん。

うん、サボろ!と迷いなく決め込んだところに先輩から電話。

さぞお怒りかな、と思いきや、
どうやら、2人の先輩が旅行中で、私が休むと試合をできる最小人数の9人に足りなくなっちゃうらしい。

怒ってないどころか「来て欲しい!!!」と懇願された。
ってか、サッカーって9人でもできるん・・・。
仕方ない、行ってやるか。

―――――
結局、のんびり準備してたら1時間以上遅れての試合会場入りになってしまった。
流石にゆっくり来すぎたか…謝らないと…と思ってたけど、
「ユキ子があと20分以内に来ないと試合できない…」というギリギリで到着したらしく、もうヒーロー。

「来てくれてありがとうー!!」やって。
そもそも大遅刻してるのに感謝された。お咎め0の感謝100。いいのかしらこれで。

生暖かく迎えてくれたチームメイトのずっと後ろに、アップ中の相手チームが見えた。

真っ赤なユニフォームのその赤に負けないくらいメラメラと殺気立ったチームが、まるで軍隊のように足並みそろえて、ランニングしてらっしゃる。
エッホ、エッホ、ゆーとる。

関西の女子サッカーリーグは1部と2部に分かれている。
1部リーグはなでしこジャパンに選出される選手が在籍するチームもあり、いわば女子サッカー界のトップOFトップ。

私たちは言わずもがな2部リーグ。今までもこれからもずっと2部。いわば女子サッカー界のボトムOFボトム。

たった2部までしかないから、2部リーグ内の能力値はグラデーションが無いわけ。極端。

そして本日の相手チームは、昨シーズンに1部リーグから2部リーグに降格してしまった元強豪校。
”元”とつけてみたものの、全国からスポーツ推薦で選手集めてるような学校で、
今シーズン中に何としても1部リーグ昇格!を目標に掲げ、全勝を狙ってるらしい。意気込みが段違い。

さぁ、そんな彼女らの本日の相手が私たち。

改めて自分のチームメイトを見る。
・・・まだ着替え終わってないじゃない!私を待ってる間、何しててん!!

さらに足元を見てびっくり。

足元ヒールとかブーツはいてる子いるやん。
さすがにチームメイトの私もビビった。え?ヒール履いてサッカーボール抱えて来たん?って。

いや、待てよ「これがわてらのスタイルやでぇ!」ってかましていくスタイルなんかな?芸大生やから。
これが私たちの試合に向かうときの正装よ!戦闘服よ!ってこと?
(いや、まぁでも早く着替えようよ)

急いでヒールをスパイクに履き替えて、なんとか試合開始。

我がチームのみんなも気合入ってる。


蛍光ピンクのヘアバンドを新調した先輩や、なぜかツインテールの先輩、汗でも流れないばっちりメイクの同期…
えっと、うん、気合の入れ方は人ぞれぞれだよね!

で、こんなへなちょこチームでもこれはリーグ戦。
試合形式にしっかりのっとるので、サッカー日本代表のあれみたいにピッチ中央まで両チーム2列になって行進。

こうして、絶対勝てない試合が、キックオフ!!!

今回は2トップで、チーム唯一のサッカー経験者の後輩と私が2トップ。

強豪校相手に苦戦が強いられることを予想し、ディフェンスに重きを置いた。
運動神経抜群のあや先輩。
チークはいつも濃いめ、かな子先輩。
繊細な鉛筆画を描かせたら右に出るものはいない同期のサチ‥


「ゴール!」

はやぁ。 
開始2分でもう1点入れられてんけど。
チーム紹介終わってないねんけど。

まぁ、とはいえ試合始まってすぐだったし、まだこっちも温まってなかったし


「ゴール!!!」

はやぁ。ボールをセンターに戻して、そのまま一直線やってんけど。
開始4分、もう2点とられた。

でも、何やら相手チームの様子がおかしい。イライラしている。もう2点もとってるのに。
私をマークしていたのは相手チームキャプテンなんだけど、小柄でこんがり小麦色に焼けた彼女が叫ぶ。

「アヤコ、逃げんなって!!」

ほほう。どうやら、アヤコが逃げ腰らしい。

私たちが9人であること、超素人すぎて動きが読めないことにより、
どうも相手チームも上手く連携できていないっぽい。

イライラを募らせていくキャプテン。

「おい!ちゃんとしろよ!! 〇〇(学校名)のサッカーやろうぜ!!!!」

喝を入れるキャプテン。それに大声でハイ!!!と応える部員たち。
強豪校はいつだってストイックである。

でも、この時、すでに5対0なのである。


―――――
キャプテンの喝により自分たちのサッカーを取り戻した相手チームは
「次はCでいこ!」「次はDやな!」と、ノリノリでいろんなフォーメーションを試してきた。

これ放課後の練習ちゃうで、公式戦やで?

さらに、次々と補欠投入。普段は試合に出れないメンバーたちの絶好のアピールチャンスだ。
もはや、どこまで点を入れられるかのお遊びになってきている感まである。

「芸大がんばろぉ〜!☆」

そんな時、底抜けに呑気な声が聞こえた。

声の主はゴールキーパーの、ツインテールことユッピ先輩だ。

ユッピ先輩は本来、ゴールキーパーじゃない。
というか、我がチームは人数が少ないからそもそも固定のポジションがない。
唯一経験者の1年生には、トップという一番技術が必要なポジションを担当してもらって、ゴールキーパーは持ち回り制にしている。(だって一番攻撃されるかね。恐怖は平等に。)

今日は、ユッピ先輩がゴールキーパーだったのだ。
よりにもよってこんな日に・・・。

彼女は「妖精」と呼ばれているくらい、とにかく・・・なんだろ・・・ほんと妖精みたいな人なんや。

見た目や世界観はデビュー当時のきゃりーぱみゅぱみゅそのもの。
しかも超アニメ声。
だから、相手もびっくりしたとも思う。ふざけてんのか?って。

ふざけてないんですー。
がんばろぉ〜☆!って声が萌アニメの「エイっエイっオー☆」風だったとしても、おちょくってるわけじゃないんですー。
小学生も今時せえへんで!ってくらい高めのツインテールだけど、本人はいたって真剣なんですー。

7点目を入れられた後、ユッピ先輩がボールを拾いながら言った。

「今のイイ感じやったで〜♪」

どこがやねん!入れられとんねん!

そうなのだ、ユッピ先輩はド級の天然キャラでもある。
この妖精さんめ。

すると相手チームのキャプテンが
「早くセンターラインに戻してもらっていいですか?」とちょっと怒り気味で言ってきた。

私たちだって別に時間稼ぎをしようだなんて思ってないけど、
確かにキビキビもしてないし、スポーツマンシップは薄めだし、ゴールキーパーは妖精だし、
きっとダラダラふざけてるように見えたんだろう。

キャプテンがイライラする気持ちはすごいわかる。うん、すごくわかる。

こんな超素人集団と試合していただいてるだけでもありがたいので、せめて誠意は見せたいところ。
それから、センターにボールを戻す役割を私が担った。
ゴールを決められるたび、センターまでボールを抱えて走った。
まるでラグビーのように全力疾走した。

――――

そして、しっかり90分の試合がやっっっっと終了!!!!

結果は、、、、


37対0。


もう一回言うね、

37対0

何この点数。これ、サッカー?

そして思い出してほしい。
この入れられた点数分、センターまで1人ラグビーしている人がいることを。

私はサッカーの試合中に30回はラグビーした。
もはや、あの日、私はラグビーの試合をしたのだ。

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